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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第2章 憧れの……
生まれた時から離島の田舎で暮らしてきた花菜。
高校進学と同時に上京した彼女は、ここ東京の土地柄を理解することに苦しみ
…いつの間にだろうか。その華やかさを自分から拒絶するようになってしまった。
“ 手が、洗えない…… ”
今も学校のトイレで立ち往生する花菜の前には、洗面台を占拠してメイクにいそしむ同級生たちがいるのだけれど…
それを見る花菜の目付きは冷めていた。
横一列に並んだ女生徒は鏡にめいっぱい顔を近付けて、まつ毛をクルリとカールさせている。
おかげで彼女たちの目は大きくなったが、残念ながらその目は背後で困っている花菜を見やしない。
放課後に行く予定のケーキバイキングの話で夢中なようだ。
「でさー、せっかく誘ってあげたのにダイエット中だからって断られたんだよね」
「バカだよねぇ、ダイエットなんて続くわけないじゃん!」
「私はケーキ我慢したくないから、ちゃあんとお昼をサラダにしたもん」
「マジメかよ!」
会話を賑わすバックミュージックには、女生徒たちの品のない笑い。