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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第6章 助けて…お兄ちゃん
──…
アパートにほど近い喫茶店の席に、伊月がパソコンを出して座っていた。
大学帰りにここに寄った彼は、注文した珈琲がくるまでの時間に、在宅バイトの依頼メールにざっと目を通している。
それは大学の英文学科に通う彼が始めた、翻訳の仕事だ。
もともとは塾の講師だけだった伊月だが、花菜と一緒に暮らすようになってから在宅バイトを始めたのだ。
そのぶん講師のバイトを減らして、なるべく家に帰るようにしている。
「お待たせしました~。キャラメル・ラテです」
「…?」
「──あッ 失礼しました! お客様は粗挽きブレンドですよね」
「ええっと……はい、そうです」
メールの確認を終えてデスクトップを閉じた時、ちょうど店員がやってきた。
しかし運ばれてきた飲み物は注文した珈琲とは違うようだ。