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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第6章 助けて…お兄ちゃん

封筒のひとつの封を切り、伊月が中身を確認する。

それらは先月の給料明細だったり、ポイントカードの残高を記す物だったり、…さほど重要な内容でもない。

ざっと目を通した後はさっさとまとめてリュックに閉まった。

残った小包も同じように封を開け、こちらは中身を出すまでもなく元通りに閉じた。


「……」

「大変お待たせ致しました!こちら粗挽きブレンドになり──」

「……夕食は、何がいいかな」

「へ?」

「今夜の献立です。毎日考えるのが…ここまで難しいことだとは知りませんでした」

「は、はぁ…」

伊月が座る席からは

店の入り口にあるウッドデッキに集まる雀が、電信柱のカラスに怯えて縮こまっている様子を見て取れた。


「食後の飲み物だけは…──いつも決まっているんですが」

「そうなん ですね……っ」


雀を助けてやろうにもガラス越しでは何もできない。

伊月は優雅にカップを取り、カップの内側で彼を誘う黒く熱い液体を……音を立てずに、すすった。








──…




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