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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第6章 助けて…お兄ちゃん
以前のテナントが残した物だろう。この部屋には数個の事務机や、コピー機らしき機械がそのままである。
並んだ机に乗った不破は、机上の電話機を床に蹴落とし、仰向けに寝そべった。
そんな彼に向かって仲間の男が問う。
「不破はいいのか?」
「…俺は…後でいい」
気の抜けた返事。
それは花菜の絶望を増幅させた。
この男は──花菜に対して何の興味も抱いていない
希望とほど遠い事実だ。
「武宮校の1年か? 名前は何だよ」
「……」
「無視するなって」
「痛ッ…」
無反応な花菜を、ひとりが背中からど突いた。
バランスを崩した彼女の身体を別のひとりが受け止める。
両肩を掴まれた花菜は嫌悪のあまりもがいた。