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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第6章 助けて…お兄ちゃん
「いやいやそんな暴れんな」
「まだなンもしてねーだろ」
制服の袖を引っ張られ、部屋の真ん中へ連れていかれる。
そこには向かい合わせにソファーが置かれていた。
ところどころ布が切れ、シミがあるそのソファーは不潔な印象だ。
男たちはそこに花菜を座らせ、自らも彼女を挟んで腰を下ろした。
彼女を囲んでいるのは三人。別のひとりはチラチラと様子を見てくるが、手に持つ漫画の続きのほうが気になるようである。
部屋の床には他にもコミックや雑誌が散乱していた。
どうせこれ等も盗品だ…。
今、花菜が男たちに囲まれるという危機的状況になかったなら、これ等の雑誌を見て顔をしかめたに違いない。
現実はそれどころではなかったが──。
「で? 名前教える気になったかー?」
「……っ」
ソファーの隣に座る男が、少しだけ声色を優しくして聞いてきた。
「そんなビビんなくていいから。少しは俺らとも仲良くしようぜ」
「きんちょーしてんの?」
「そんな俯かなくても…俺ら怖くねーぞー」
優しいと言うより、馬鹿にしている。
怯える花菜を嘲笑い…彼等の手が動き出した。