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再会という名のBAR
第3章 その名の通り
新しい店、「再会という名のBAR」。
瞳と伊知子は「ムーンライト」同様、月に一、二度の頻度で通った。
マスターの潤平が同い年だという事が、二度目に行った時にわかるとなおさら
距離が縮まり会話も弾んだ。
そして、「ムーンライト」時代の常連客ともこの店で再会を果たし、
3ヶ月もすると新旧取り混ぜた客達で週末はにぎやかな声があふれていた。
「嬉しいねえ、またこうしてこの店で酒を飲めるなんてさ。
ムーンライトの後はどうなっちゃうのか心配だったけど、
こんなにいい店ができたんだから、川又さんも天国で喜んでるだろうよ」
ムーンライトの常連、たっちゃんがタバコをくゆらせながらロックグラスを傾ける。
瞳と伊知子が初めてムーンライトに行った時にカウンターにいたのが、
たっちゃん。
川又さんの死後、もうこの界隈で酒を飲むことはないかも、と
足が遠のいていたらしいが、ふと店のその後が気になって様子を見に来て見たら、
あの看板がそのまま残っている事に感激し、思わず扉を開けたのだという。