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それを、口にすれば
第12章 被虐の味
「あいつ……」
やたらと広い風呂場のその先から、いやらしい言葉を口にする妻の声が聞こえてくる。
もう少しであの二人の姿までもが見えそうだと思わず腰を上げたその時、良介の注意はすぐに逸らされた。
「あら、私の前で他の女のことを考えるなんていいご身分ねえ……」
首から伸びたリードが強く引かれたのだ。
「ぐう……」
強い引きに一瞬息ができない。
そして、バランスを崩し、勢いよく再び地面に這いつくばったために……小さな石や小枝が膝頭や手の平を傷付けた。
反射的に悪態をつきそうになったものの、理沙子の美しい脚の、そのつま先にわき腹をスーッとなぞられると……ゾクゾクと身を震わせてしまう。
そしてもう、その優雅な動きを受け入れることしかできなくなった。
いや、受け入れるだけではいけない。
もっと高く尻を上げて、頭を下げなければ……。
そう、犬のように。
つま先からの刺激は肩を越え、低く下げた頭を、頬を撫でる。
目の前に突き出された理沙子のよく手入れされた紅いつま先は細かな砂で汚れていた。
(も、申し訳ありません……)
この場所で、声は一切出すなと命じられている。
声を出す代わりに、良介は紅く光る爪の先に舌を伸ばした。
やたらと広い風呂場のその先から、いやらしい言葉を口にする妻の声が聞こえてくる。
もう少しであの二人の姿までもが見えそうだと思わず腰を上げたその時、良介の注意はすぐに逸らされた。
「あら、私の前で他の女のことを考えるなんていいご身分ねえ……」
首から伸びたリードが強く引かれたのだ。
「ぐう……」
強い引きに一瞬息ができない。
そして、バランスを崩し、勢いよく再び地面に這いつくばったために……小さな石や小枝が膝頭や手の平を傷付けた。
反射的に悪態をつきそうになったものの、理沙子の美しい脚の、そのつま先にわき腹をスーッとなぞられると……ゾクゾクと身を震わせてしまう。
そしてもう、その優雅な動きを受け入れることしかできなくなった。
いや、受け入れるだけではいけない。
もっと高く尻を上げて、頭を下げなければ……。
そう、犬のように。
つま先からの刺激は肩を越え、低く下げた頭を、頬を撫でる。
目の前に突き出された理沙子のよく手入れされた紅いつま先は細かな砂で汚れていた。
(も、申し訳ありません……)
この場所で、声は一切出すなと命じられている。
声を出す代わりに、良介は紅く光る爪の先に舌を伸ばした。