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連攣鎖(つれづれぐさ)
第33章 カラオケボックス
「え?、スナックとかでしか歌ったことがない?
ボックスに行くチャンスなかったんですか?」

「ああ、だって歌うだけだろう?」

「お酒もありますし、仲間うちだけで好きなもの歌うって楽しいですよ。
じゃあ、行きましょ?
退職までにボックス初体験しちゃいましょ〜」

なんて、違うことまで体験しちゃうことになるんですけれどもね。


まあ、嫌がりもしないので手を引いて近場のボックスに入ります。

伝票ホルダーとマイクの篭を、『これも経験』とトップに持たせて、部屋に向かいます。

「なんか巣みたいだな。」

沢山並ぶドアを通りすぎながらトップは呟きます。

「さあさあ、ここですよ。」

部屋に入り照明、エアコンを調節し、腰掛けてとっとと曲を入れる。

東北出身のトップだから、津軽海峡冬景色…石川さゆり…ん〜、いっかな。

で、メニューを見せて飲み物を決めて、デンモクでオーダー。

うん、時代は変わったもんだ。

曲が始まりイントロの間に飲み物がくる。

「トップの初ボックスに乾杯〜」

飲みながら歌い始めれば、静かに聞き惚れるトップ。

別に私の歌が上手いからではない。

「お前、俺を泣かす気か?」

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