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連攣鎖(つれづれぐさ)
第33章 カラオケボックス
「そんなに上手かったですか?
涙じゃなくて、チップを頂戴っ…」

ふざけて差し出した手に、トップの手が乗せられた。

「俺達はな、この夜行列車に乗せられて東京に出てきたんだ。」

そうそう、高度経済成長期、集団就職というネーミングで地方から東京に多くの若者たちがやってきた。

地方で集められて電車に集団で連れてこられて東京にくる。

採用は個々、入社までの移動手段が集団なだけで、就職が一括おまとめセールなわけではないが、
何を持って集団とつけたのか、ネーミングセンスを疑いたい。

まあ、とにかく、ゴールを目前にトップのスタートまで記憶を遡らせた私の選曲が、トップの琴線に触れたらしい。

集団就職って言葉は知ってたけど、まさか夜行列車で来たなんて知らなかったもん。

男泣きはうんと苦手、乗せられた手を握り返して宥めた。

トップはウンウンと頷きながら聞いている。

体の一部が触れあってしまえば、全てが繋がるのも直のこと…

間奏中にトップの歌える歌をリサーチして入力して、煙草をふかして酒を飲む。

片手を繋ぎっぱなしだからなかなか忙しい。
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