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無題
第1章 〜1〜
父が星になって
三日後の朝
私の耳は音を失いかけていた
恐怖と
目眩に怯えながらも
あなたの前で不安を言えずにいた
何度も心配そうに
顔を覗き込んでくるあなたに
「怖い」
って言えなくて
病院で伝えられたことを話すと
「まぁ…もし聞こえなくなったら仕方がないから
俺が全部教えてやるからな…」
耳元であなたが囁いた
涙が溢れてしまいそうだったけど
私は笑顔であなたにキスをした
昔の私だったらきっと
迷惑になってしまう
自分から離れたほうが…
って
間違いなく考えた
今もそれはほんの少しだけ
私の心の隅に燻っているけど
あなたが私が居ないと困るんだって
言ってくれるから
私はあなたから離れないって
そう決めたんだ