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雨のち晴れ
第1章 曇り空
「俺だよ、俺...」
自分の頭の中にある記憶をたどる。

「え、蓮?うそ…」

「うそってなんだよ」
ハハっとまたあの笑顔を見せる。

蓮は中学の頃の同級生で、あの頃一番気が合ってよくつるんでいた男の子。


「お前、俺のこと忘れてんなよ」

「だって蓮、変わりすぎ」

あまりの懐かしさについつい声が大きくなってしまって、周りの目が一斉に私達の方を向く。

「また後で」
こっそり、そう言って私は前を向きなおした。

その後も厳粛な入学式は変わらず進行していったが、私は後ろに座っている蓮との思い出を一人でニヤニヤしながら思い出していた。

傍から見たらすごく変な人だったに違いない。
でもそんなこと関係ないくらい、私にとって蓮との思い出は懐かしくて、切なくて、素敵なものだったんだ。
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