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第7章 素直な気持ち

「あー...美味っ」
冷えたビールをぐいっと一気に飲んでお父さんが言う。

それにつられて私も飲んだ。

冷たい液体が喉を通り、食道を流れていくのがわかる。

「仕事の後の1杯はやっぱ美味いな」

「そだね」
久しぶりにお父さんと向き合う。

お父さんとお母さんは学生の頃からの付き合いで結婚したらしい。
今では誰もが認める仲良し夫婦で、娘としては目のやり場に困ることもあるけど、それでも理想の夫婦だ。
陸にも言ったことがあるけど、実家を出て一人暮らしをしているのは決して両親のことが嫌いだからとかそういう理由ではない。

「蘭、人との出逢いは大切にしろよ」
真剣な目で見つめてきた。
「え、何急に...」

「一期一会を大切にしないと後悔するぞ」

「...わかってる」

「大切なのは過去でも未来でもない、今なんだよ」
とても優しく強い目。

「父さんも母さんも、蘭の幸せを1番に願ってるからな」

...。