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友達でいるしかない
第4章 心友
彼女にクッションを手渡しながら当たり障りのない会話をする。
昔の話やTVの話。
本当にたわいのない話だったけど、母親としか会話がなかった俺には新鮮だった。
他人と話すことがこんなに癒されるとは知らなかった。
少し沈黙が続くと言いにくそうに彼女が口を開く。

「ねぇ…学校にでてこないの?」

彼女はこれを言いに来たのだと分かる。
唯一心配してくれる彼女にありがたいと思う。
だけど、それには正直触れてほしくなかった。
朝までは行こうと思うけど、どうしても先に進めないみじめな俺を知ってほしくなかった。
そんな気持ちをごまかそうと笑う。

「さすがに…ねぇ…あそこまで話が膨らむとは思わなかった。本当にまいった…」

「私もびっくりしたよ。まさか、のりちゃんが暴力奮うとかさっ。ありえないのにね。…昔から知っている友達ならそんな噂信じないのに。学校に抗議してやろうと思ったぐらいだもん」

両手で握りこぶしを作り楽しそうに言う。

「お前が??やったの??」

思わず声が大きくなる。
意外と大人しい文香。
その彼女が先生に抗議するなんて想像もつかなかった。

「まっさかぁ。私にそんな度胸ないです。思っているだけの意気地なしです…ごめんね」

ケラケラ笑いながら否定する。
その笑顔が俺の心を和ませる。

「いやっ…うん。でもありがとう。すっげーうれしい」

彼女の気遣いが心にしみる。
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