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友達でいるしかない
第5章 変わらない想い
「そいつ…良い奴か?大切にしてもらってる?」

「うん…とても優しいよ。」

「そっかぁ…ならよかった。」

それ以上、話が続かない。
こんなに会話に困ったことは初めてで一生懸命何を話すか考える。

「そういえば、知ってる?慎一郎と紀子つきあってるの」

「えーーーー??何それ・・・私聞いてな~い。いつから?告白どっちから??」

興奮して俺にあれこれ聞いてくる。
俺は事細かに幼馴染の馴れ初めを話していく。
興奮して驚いて表情をころころ変えて俺の話に聞き入る。
これでいい。
この定位置で俺はいい。
そう思ってしまうぐらい居心地のいい時間だった。

「文香、帰るよ」

ドアの方から男の声が文香を呼ぶ。
文香の彼氏だった。
俺がいたからか、少し怒っている気がする。
文香が何かを言う前にその彼氏は歩いていく。

「あっ…待って」

慌てて本をバックに入れ彼氏の後を追う

「則孝またねっ」

あっさりと俺との会話を打ち切った。
その位置づけに現実を見せ付けられた気がした。
置き去りにされた俺は窓の外を覗き込み校舎から出てくる2人を見つめた。
少し足早に歩く彼氏に必死についていこうとする文香。
横に並んでも歩幅が違うせいで少しずつ離れていく。

「俺だったら…あんな歩き方しないのに…文香…本当にそいつで大丈夫なのか?」

一度も振り向いてやらない彼氏を心配してしまう。
俺だったら振り向いて文香の歩調に合わせるのにと。


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