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友達でいるしかない
第7章 時の流れ
「ごめんなさい。私が悪かったです…本当にごめんね」
別に何も悪くない文香が謝ってくる。
謝るのは俺の方なのになぜ謝ってくるのか分からない。
噛むのをやめて指を離す。
俺は何も言わずにつまみに箸を伸ばした。
噛んだ指を見つめたまま文香は何かを考えている。
何もかもどうしたらいいのか分からなくて日本酒を頼む。
酔った勢いで…というのは正直嫌だ。
だけど、飲まないと間が持たなかった。
間を持たせるために日本酒を一人で飲み続ける。
隣には文香がいるのになぜが一人で飲んでるような気がした。
これから先、俺の横には文香はいない。
ずっとあり続けると思ってい物が今日を境にこの手から滑り落ちていく…
「お前さぁ。死ぬまで俺の味方でいろよ」
日本酒で頭がボーっとする中で文香に語り掛ける。
「死ぬまで俺の味方でいろよ」
「はいはい。ずっと味方だよ。その為の友達でしょ?」
文香の手が俺の髪を掻き揚げる。
―――――それは嘘だよな。
お前は俺の手の中からいなくなる。
その嘘は何?
俺への最後の優しさなのか?
こんな俺に優しいな。文香は。
だったら、それは受け取るよ。
最後の友達の言葉として…
「ああ。だからお前は友達がいい。友達がいいんだ」

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