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友達でいるしかない
第8章 届けたい気持ち
ペットボトルの水を半分ほど飲んで落ち着かせる。
文香の真正面に座り込んで文香の髪を触る。
こいうこともこれが最後なのだと髪の毛の一本一本を愛おしく触る。

「…なぁ…もう自由になっていいよ…」

その言葉に文香の手が顔から外れる。

「どういうこと?」

「ずっと…中学の時から…俺はお前を縛り付けてる。…友達という名に縛られ、振り回されてるだろう?お前は。…俺の味方でいてくれるのはうれしいよ。けど…俺に振り回されっぱなしで…お前は幸せじゃない。いつも泣かせてばかりだ。だから…友達という名から自由にしてやる…解放してやるよ」

最後に俺にできる精一杯の笑顔を送る。
この顔を覚えていてほしいから。
20年後30年後、思い出した俺の顔が笑顔であってほしかった

「夜中にごめんなっ…今日はタクシーで帰るわっ」

このままここにいたら泣いてしまいそうで逃げるように部屋を出た。
出たけれど…力が抜けてドアの前で崩れ落ちる。
完全に座り込みドアに背中を預ける。
溢れ出す涙が流れないように天井を見つめた。
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