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サイドストーリー7
第20章 セカンドラブ③
「池田。まだ残っているのか」
「主任」

別の案件で外出していた主任が9時を過ぎたころ帰社して。
この時間なら直帰の人も多いのに。

「帰らなかったんですか?」

ホワイドボードには、直帰の印の「NR」の文字が書いてあるのに・・・

「池田が残ってそうで戻ってきた」

そんなことをさらりと言う。

「でも直帰のはずだからな。仕事はしないぞ」
ニヤッと笑いながら、私の机に来てパソコンの中を覗き込んだ。

「へぇ・・・よくここまで進んだな」

主任は自分の仕事だって手一杯のはずなのに
私の仕事の進行具合まで的確に判断していた。

「今日はほかの案件の書類もあっただろうに、頑張ったな」

そう言って肩をポンと叩いた。

「でも、ここで今日は終わりだ」

それは有無を言わせないきっぱりとした物言いで。

「支度しろ。ご飯食べに行くぞ」

主任はカバンから書類を出して、カギのかかる机にしまう。

「でも、キリのいいところまで」
あと少し。
そう言い訳をしそうになる私の言葉を遮って
「池田が今ご飯を食べに行かないなら、俺帰るけど?」

一緒に仕事をするようになって気が付いたのだけど。
主任はきちんと3食を食べないことが多い。

きっとこのまま帰れば、主任は適当に夕飯を済ませて仕事の続きをするんだろう。

「ずるいです・・・」
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