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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第3章 混・乱・事変
――――
「……ふう」
しのは、バスタブに脚を投げ出して天井を見上げ、息をつく。
濡れると肘に少し痛みが走るが、ほんのかすり傷だった。
『良かったわ、顔じゃなくて』
母の言葉にしのは複雑な心境だった。
多忙な母は、しのがステージから落ちた事を聞いて重要な会議を抜けてマンションへ帰ってきたのだが、しのにそう言って腕時計を見て、また出掛けてしまったのだ。
巨大な芸能プロダクションの社長なのだから忙しいのは分かるし、例え五分だとしても娘の為に帰ってきてくれたのだ。その努力は認めてあげたいとも思う――が、しのはモヤモヤした気持ちを消化できないままだった。
――ママ……私ね……生まれて初めてキスしちゃったんだよ?しかも……初めて会った人と……
しのは、堺の唇が当たった感触を思い出しながら指で自分の柔らかい唇に触れた。

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