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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第3章 混・乱・事変
しのの大きな瞳の長い睫毛が震えるのを、堺は息を詰めて見ていた。
白い指が唇に一瞬触れて、おかしな叫びが喉から出てしまい、しのの指が離れる。
「ごめんなさい……痛かったですか」
悲しげに眉を寄せるしのの表情が色っぽくて、堺は顔を逸らして心の中で絶叫する。
(わわわわ――っわ――っ頼むからそんな悩ましげな目を僕に向けないでくれ――っ……君は無意識かも知れないけど僕はっ)
ふと時計に目を向けると堺は慌てて立ち上がった。
「――なっなんてことだ!もう夜の九時じゃないですかっ」
「そうですね……」
しのも時計をちらりと見て何でも無さそうに返すが堺は玄関を目指してよたよた歩く。
「こっこんな時間に若い、いや僕はあんまり若くないですがっ!とにかく男女が二人きりで部屋にいたらまずいです……っ!ぼぼ僕は本日は帰ります」
「堺さん?」
しのは立ち上がって彼を追った。

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