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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第4章 混・乱・事変②
「丁度よいタイミングでおでんが煮えましたね……一緒に食べましょうか」
当たり前のような口調で言いながら土鍋の火を消して、棚から皿を取りだすしのは、堺が驚愕の表情でこちらを見ているのに気付くと、柔らかく笑う。
「ああ、それともお風呂を先にします?着替えもありますし。パパのですけど、ちゃんとクリーニングしてありますから綺麗ですよ」
「う、うううええええっ」
「うえ?」
しのは首をかしげ、奇妙な呟きを溢す堺を見詰める。
堺はその真っ直ぐな眼差しにビビりながら、頭の中を整理しようと必死だった。
――ななな何だこの状況は……19歳のアイドルの自宅に上がり込んでそのアイドルは可愛いパジャマを着てて「ご飯にする?それともお風呂?」だとかまるで新婚家庭の奥さんみたいな台詞を……っ!これは夢だ……夢に違いない……昼間のフェスの出来事も……そうだ、あのキスも何もかも真夏の気まぐれな魔物が僕に見せた白昼夢なんだあああ!だってこんな事、ありえないだろう――っ
「……堺さんは夢を見てるんじゃありませんよ。これは現実です。フェスでの事も……その……私と……の事も」
「ひいっ?……えええ?」
頭を抱えていた堺は口をあんぐり開けて愕然としてしのを見た。
どうやら心の中の叫びでなく、実際に口にしていたらしい。
身体中の血の気が引く思いとはこういう事か、と堺は実感していた。

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