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彼の秘密
第18章 二人の時間
神室は然り気無く俺と冬樹の間に入ってくれて、澄も俺の袖を掴み引き寄せる
澄はいじめ集団のなかに入ってたことを知ってるからだろう

「あ、あの前はすみません、その雫を・・・」
予想道理、神室に頭を下げて誤解を(まぁ誤解をさせたのはこちらなのだけど)言おうとする彼の口を神室が右手で押さえた

「あの・・・ね?今は空気を読んで」
そういう彼の背中から焦りみたいなのが見えた
だが、冬樹の失言は澄の耳に入っていた

「雫が何?まだこいつをどうかしたいわけ?」
その声には明らかに怒気を孕んでいる
「澄、そうじゃない。けど、今は話せないというか個人で話したいんだけど」

「まさか話せない事をされたの?」
あぁ、なんで自分は馬鹿なんだろうか

「うぇっと、だからその」
どう言えばいいのか頭を回転させるが全く良い案が浮かばない
「その、ね前ふとしたところで出会って謝ってもらったんだけどちょっとその時にまぁいろいろ、」
とりあえず思い浮かんだことをそっと耳打ちした
「だからぁその色々を聞きたいんだけど、まさか襲われてないよな」

「そ、それは・・・っうん」
その問いにすっと答えられなかった自分を呪いたい

「は、?何その反応・・・え、本当に襲われたの」

「まぁまぁまぁ、とお、落ち着いて」

「これを落ち着いて!」

「本当にね、君たち何騒いでるの?」

「せ、先輩」

「もう校門閉めたいんだけど、出てくれる?」

「え、あっはい」
いつも通りの会長としての態度に俺は冷や汗をかく、彼の本心がわからない

「じゃあ帰ろうか。雫」
仮面の笑顔を張り付ける彼体が硬直する
「じゃあまたね、一ノ瀬君だっけ?」
と言われた彼の瞳は恐怖で揺れた気がした

「え、付き合ってるんじゃないの?」
一ノ瀬はぽかんとして神室を指差す
「はぁ?」
当然その意味がわからない澄は神室を見た
「はぁ...気持ちはわかるけど落ち着いて。これは俺も彼には誤解を生んでる部分があるから、怒る役が違う、ね?澄には俺がちゃんと話すから今日は帰ろう」
彼の真剣な声と眼差しに澄は何とか落ちつき息を吐いた
「わかったよ」
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