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彼の秘密
第18章 二人の時間
俺はありのままに話した。
出会った経緯、そこからの展開、されたこと、そこで神室(名前を伏せて)に助けられたことを飾らず、削らずに話した

終始彼は何も言わず、静かに聞いてくれた。
ただ、彼の心の内を知らせるように背中に回された腕は時折シャツをくしゃっと握ったりしてた

でも、彼は約束道理に俺を怒らなかった

「そんな事があったんだね・・・怖くなかったの?」

「怖くなかったといえば嘘になります。
けど、そのお陰でわかったことがありました
触れて欲しく無い人に触れられても嫌悪感しか生まれなかったし、何よりも先輩に触れて欲しかった。触れたかったんです。」
彼の太ももにまたがりながら、ぎゅうと密着した
まるで赤子に戻ったようだ
彼の髪から爽やかな柑橘系の香りがしてそれを肺の奥まで取り込みたくなって吸い付くように肩に顔を埋めた
「そんな風に言われたら・・・何でもない。
もうそろそろ帰ろっか、21時にも近いし。親御さんには連絡した?」
何かを言いかけたけど、それを飲み込むように話題を変えられ、肩をぐっと押され間に空間が生まれた

俺も彼の太ももから降りて制服を整えた
「あ、はい。基本的に遅くなるって伝えてるので
何を言いかけたんですか?」

「んー、何でもないよ。
ただ、あまり俺の前であまりかわいいことしないでね。大切にはしたいから」
鞄を左肩にかけるのとついでに横目で俺を見てふっと笑う
「可愛いって俺、男ですよ」
顔が赤くなるのは感じなかったが一言が胸を満たしていく。
可愛いと言われたことが嬉しいということではないけど
「そうだね、でも可愛いのはかわいい」

「本当、学校と違いますね」

「それを見せるのは雫にだけだと思うけど?」

こんな言葉が聞けるだけで、俺は嬉しい

多分自分が思っているよりも独占欲がある

彼だけの特別でいたい、彼を独占したい、完全な自己満足に過ぎない感情が溢れてやまない

これをどうやって体現したら良いのかこの場では思い付かなかった
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