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彼の秘密
第6章 球技大会
「・・・ずく、雫!大丈夫?!」

「んあ、先輩?」
肩を揺さぶられ、目を開ける。
どうやら、また寝ていたみたいだ。

「あ、大丈夫です。」

「そう、ならいいんだけど・・・あのさ、家に連絡したんだけど電話に出なかったらしくて。
心当たりは?」

「・・・もしかしたら、妹を迎えに行った後に買い物に行ってるかもしれないですね。
いいですよ。俺自分で帰ります。
そんな子供でもないですし。」

とベッドから体を起こし、降りようとしたら眩暈がして足元がふらつく。

「あぶな」
と先輩が俺の腕を持って支えてくれた。
「あ、ありがとうございます。」

「それよりこの様子じゃ帰れないでしょ?
俺が、送ってあげるから。」

「いや、そんなの悪いですよ。」

「いいから。」
といきなり足が宙に浮いて体が軽くなった。

見上げれば、先輩の顔はすぐ近くにあって苦笑いをしながら
「ごめんね。この格好は不本意かもしれないけど許してね。」

それは、お姫様抱っこの格好だった。
「うえ?いや俺重いですよ・・・それに、」

「恥ずかしいよね?でも運びやすいのはこれだから。
恥ずかしかったら目をつむってて。」
腰にそっと添えられた手と密着した体があたたかくて眠気が一気に来る。

先輩のほうが恥ずかしいはずなのに、重いのに悪いなぁ。

でも、すごく居心地が良くて。

そして重い瞼をゆっくりと閉じた。
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