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彼の秘密
第7章 雫の家
当然俺を含め周りの空気は固まった。

「お弁当?どういうこと雫?」

「へ、いやこれはその」

「あんた、お弁当はいらないって言い出したのって、まさかこの人に作ってもらってたってこと?
彼女じゃなくて?!」

「いやまぁそうだけど!俺は一言も彼女なんて言ってないし。てか、なんで先輩も今それを話すんですか!」

「雫が寝ないから。いいの?もう」

「わかりました。お弁当食べたいです!先輩の唐揚大好きです。」
と俺はそそくさと自分の部屋に戻ろうとした。
「ちょっと待ちなさい雫。」

だが、母がそれ許さなかった。
「あんた、なんでそんな大事なこと黙ってたの?
それを知ってれば、お母さんお礼の一つは用意できたのに。」

「そこは謝るけど今日は仕方ないだろ。倒れちゃったんだから。」

「それはそうだけど、でも名前くらい教えててくれても良かったのに。
それより、なんで渡君に作ってもらってるのよ」

「それは・・・おいしいから。」

「それはつまり」
しまったこれじゃ母さんの飯がまずいってなるじゃないか!

「いや!母さんのもすごくおいしいよ!?いつも作ってくれるハンバーグとか肉じゃがとかそれにほらお弁当じゃ作れないパエリヤとか特性カレーとか」
と俺が必死に母さんの飯がいかに良いものかを説明しようとした時に母さんがぱっと顔を上げて

「つまり二人はそういう関係ってこと?」
とわけのわからないことを言った。
関係ってなに?後輩と先輩の関係ってこと?でも、普通ならお弁当は作らないか。

「どういうこと?」

「それはつまり」
と母さんが言葉をつづけようとした時に先輩が今まで見たこともないような笑顔で

「多分、お察しの通りの関係ですね。」
と、母の言葉の先を伏せて答えを出した。

すると母は、手を口の前に合わせて顔を赤らめる。
そして
「雫、あんたいい人を見つけたわね。うーん、まあ仕方ない。今日は下で食べなさい」
なんて許しが出たわけだけど、俺の頭の中ははてながいっぱい浮かんでいた。

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