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タイムリミット365
第3章 365日の時間
その日のうちに、私は輝翔の家に住む事になった。
連れて来られたのは、海の近くの別荘地の1軒屋。
別荘としての家が多く、普通に生活している人は、この周りにはあまりいないようだ。
ここだけが、静かで緩やかに時が過ぎている気がした。
荷物も何もなくそのまま、やって来たから、洋服やら生活していく為の物を私は何も持っていない。
どうしよう…。
ずっと同じ服でいるわけにもいかないし…。
買うお金もない。
何よりこのあたりに、そんなお店はない気がする。
家の中に入ると、そんな私に気付いたのか、輝翔が声を掛けてきた。
「羽音の服とか必要な物は、明日車出すから食料とかと一緒にまとめて買いに行くから、心配するなよ。」
「そうなんだ。ありがとう。本当にいいの?私も一緒に住んで。」
「あぁ。どうせ、ここには俺しかいないしな。好きなように暮らしてくれ。部屋も2階なら、好きな部屋使っていいからな。2階でも見て来いよ。」
「うん。ありがとう。じゃ、遠慮なく行ってくるね。」
「何かあったら、俺は1階の奥の部屋にいるから、声かけてくれ。じゃあな!」
そう言って、輝翔は奥の部屋に入っていった。
玄関に1人取り残された私は、改めてゆっくりと、家の中を見渡した。