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タイムリミット365
第7章 輝翔の真実
「浅沼と何を話したんだ?」
「ん?たいした事じゃないよ。」
「俺がいたら、話せない事だったのか?」
「浅沼さんが、多分恥ずかしかったんだとおもう。輝翔の事心配してたよ。友達って、やっぱりいいよね。」
「そうか?アイツ。そんな話してたのか?じゃあ、確かに俺も聞いてたら、恥ずかしかったな。」
「ふふっ。確かにそうかもね。」
「羽音は、友達とかいるのか?」
輝翔からの言葉に、私の表情は曇っていく。
それを輝翔は見落とす事はなかった。
私の顔を覗きこみながら、頭を優しく撫でた。
「悪い。嫌な思いをさせたな。さっきの質問は忘れてくれ。誰にだって触れられたくない事の一つや二つあるからな。」
「ううん。大丈夫。ただ、私は友達と呼べるような人いないって思って…。輝翔と浅沼さんの関係がすごく羨ましいよ。」
「そうか?ただの腐れ縁だぞ。」
「それでも、自分を思ってくれる相手がいるのは、幸せな事だよ。」
「そうだな…。」
静かな駐車場で車の中二人、沈黙が続いたあと、輝翔がエンジンをかけながら言った。
「今は、お前にも俺がいる。一人ではないよ。」
「ありがと…。」
ハンドルを握り、眼鏡をかけて車を発進する輝翔の横顔を見ながら、私は温かい気持ちになっていた。