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タイムリミット365
第7章 輝翔の真実
「私、輝翔が死ぬなんて考えてません。きっと彼なら、大丈夫。」
「羽音ちゃんは、強いんだね。」
「そんな事はないです…。でも、死なないって信じてなくちゃ、辛くなっちゃうから。」
「余命なんて、わからないからな。余命過ぎても生きてる人だっている。成海には、生きる目的を持ってもらいたいんだ。羽音ちゃんがいれば、アイツも頑張れるはずだからさ。」
そう言って、浅沼さんが立ち上がり、私に手を差しのばしてきた。
「羽音ちゃん、成海の事頼んだよ。」
「はい。私で力になれるなら、輝翔のそばにいたいと思います。」
私は差し出された浅沼さんのその手を強く握った。
輝翔が信用して大切にしている人と、今日会う事が出来て良かった。
輝翔の事を思っている人は、私以外にもちゃんといる。
輝翔は一人ではないのだから。
諦めずに、自分の病気と向き合って欲しい。
心からそう思った。
応接室を出ると、エレベーターまで浅沼さんが送ってくれた。
「困った事があったら、いつでもおいで。じゃあね。」
「ありがとうございます。」
エレベーターのドアが閉まるまで、浅沼さんが優しい笑顔で手を振っていた。
そんな浅沼さんの笑顔に、私も輝翔の病気と向き合う元気を貰えた気がした。