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恋の行方を探してください【完結】
第46章 【四十六話】忠誠の儀*紫紺

弓月当麻から救ってくれた男は、明楽紫紺(あきら しこん)と名乗った。
寮に戻っても弓月当麻に追いかけられるのは分かりきっていたので、美哉は紫紺が住んでいる山奥の小屋に匿ってもらうことにした。
紫紺の運転する車で山小屋まで行く途中、美哉はぽつりぽつりと自分の境遇を話した。……と言っても、会社が倒産して、寮から追い出されたところを親切な人に拾ってもらったけれど、また追い出されてしまった程度の話しかできなかったけれど。
それよりも、紫紺はどうして美哉の名前を知っていたのだろうか。
疑問に思って聞けば、紫紺にはぐらかされてしまった。
「オレのことは詮索するな」
「…………」
「オレもおまえのことは聞かない。話したいというのなら、聞いてやるが」
そう言われてしまえば、美哉もこれ以上、話せなかったし、聞くこともできなかった。
また追い出されてしまったら……と思うと、怖くてできなかった。
車で二時間ほど移動しただろうか。山道をガタゴトと言わせて入りこんだ先に、建物が見えた。
「着いたぞ」
車が止まり、降りるようにうながされたので、美哉は覚悟を決めて降りた。
紫紺は山小屋だと言ったけれど、美哉にはログハウスのようにしか見えなかった。
中に入ればかなり広くて、もしかしたら昔は別荘として使われていたのかもしれない。
二階建ての山小屋は、ドアを開けるといきなりテーブルがあり、奥にはキッチンがあった。ここがダイニングキッチンになっているということだった。風呂はその奥にあるという。二階には四部屋ほどあるから、かなり大きいのではないだろうか。
「先に風呂に入って来い」
「……はい」
「着替えはオレのでいいか」
「……はい」
ロングTシャツに短パン、それからタオルを渡され、美哉は風呂に案内された。
「贅沢にも掛け流しの源泉だぜ」
「温泉なの?」
「そうだ」
温泉と聞いて、美哉は心が弾んだ。
案内された場所は木の香りが漂うお風呂場で、美哉は嬉しくて、今からのことを少しでも忘れたくて、ゆっくりと浸かった。
お風呂から上がるとダイニングに紫紺がいて、美哉に冷たい水を渡すと、入れ替わるようにお風呂へと消えていった。
寮に戻っても弓月当麻に追いかけられるのは分かりきっていたので、美哉は紫紺が住んでいる山奥の小屋に匿ってもらうことにした。
紫紺の運転する車で山小屋まで行く途中、美哉はぽつりぽつりと自分の境遇を話した。……と言っても、会社が倒産して、寮から追い出されたところを親切な人に拾ってもらったけれど、また追い出されてしまった程度の話しかできなかったけれど。
それよりも、紫紺はどうして美哉の名前を知っていたのだろうか。
疑問に思って聞けば、紫紺にはぐらかされてしまった。
「オレのことは詮索するな」
「…………」
「オレもおまえのことは聞かない。話したいというのなら、聞いてやるが」
そう言われてしまえば、美哉もこれ以上、話せなかったし、聞くこともできなかった。
また追い出されてしまったら……と思うと、怖くてできなかった。
車で二時間ほど移動しただろうか。山道をガタゴトと言わせて入りこんだ先に、建物が見えた。
「着いたぞ」
車が止まり、降りるようにうながされたので、美哉は覚悟を決めて降りた。
紫紺は山小屋だと言ったけれど、美哉にはログハウスのようにしか見えなかった。
中に入ればかなり広くて、もしかしたら昔は別荘として使われていたのかもしれない。
二階建ての山小屋は、ドアを開けるといきなりテーブルがあり、奥にはキッチンがあった。ここがダイニングキッチンになっているということだった。風呂はその奥にあるという。二階には四部屋ほどあるから、かなり大きいのではないだろうか。
「先に風呂に入って来い」
「……はい」
「着替えはオレのでいいか」
「……はい」
ロングTシャツに短パン、それからタオルを渡され、美哉は風呂に案内された。
「贅沢にも掛け流しの源泉だぜ」
「温泉なの?」
「そうだ」
温泉と聞いて、美哉は心が弾んだ。
案内された場所は木の香りが漂うお風呂場で、美哉は嬉しくて、今からのことを少しでも忘れたくて、ゆっくりと浸かった。
お風呂から上がるとダイニングに紫紺がいて、美哉に冷たい水を渡すと、入れ替わるようにお風呂へと消えていった。

