この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋の行方を探してください【完結】
第49章 【四十九話】あなたは誰?

夜も遅いし、体調がよくない美哉のために、夢の中で見た男性は、紫紺と美哉の二人のためにホテルに部屋を取ってくれた。
「色々とありがとうございます」
と美哉が頭を下げれば、男性は困ったように眉尻を下げた。
そういう表情の変化を見ていると、どうしてだろう、美哉の心はざわめく。
美哉の服だと言って、一泊用のボストンバッグを渡され、戸惑った。しかも中を見ると、見覚えのある服が入っていて、ますます戸惑った。
パジャマから服に着替えて、美哉は男性が用意してくれたホテルの部屋に行った。部屋はツインだった。
「さっきの方、すごく親切でしたね」
「……本当に覚えてないんだ」
とは、再会した時、青い顔をしていた紫紺。
「名前を聞き忘れたけど、紫紺は知ってる?」
「小早川由臣って名乗ってたぞ」
「こばやかわ……って、え、ちょっと待って? 小早川って、あの小早川?」
「あのがどれなのか分からないけれど、小早川グループの三男と聞いたぞ」
「……三男」
そう言われて、美哉はまた、頭痛に襲われた。
ずきずきと痛み始めたことに、紫紺はすぐに気がついてくれたようだ。
「無理するな、もう寝ろ」
「……うん」
紫紺に助けられながら美哉はベッドに潜り込み、ぎゅっと目を閉じた。途端、涙があふれて来て止まらなくなった。
それを見て、慌てだしたのは紫紺だ。
「美哉っ? どこか痛いのかっ?」
「ち……がう、の。勝手に涙が……出てきて……」
「美哉はあいつのことが、好き、なのか?」
紫紺のその言葉に、美哉は泣きながら顔を赤くした。それを見た紫紺は、美哉の涙を拭きながら、笑った。
「オレ、失恋か」
「ううん、違う。私、紫紺のこと……好き、だもん」
美哉は顔をしかめながら身体を起こし、紫紺に抱きついた。
「美哉、無理するな」
「無理してない。私、紫紺のこと」
好き、と続けようとしたら、紫紺は指先で美哉の唇を押さえた。
「その好きはきっと、likeの好きだ。loveじゃない」
「…………」
「それでも、オレには充分だよ。だって、こうして美哉はオレを頼ってくれたんだから」
「紫紺……」
「色々とありがとうございます」
と美哉が頭を下げれば、男性は困ったように眉尻を下げた。
そういう表情の変化を見ていると、どうしてだろう、美哉の心はざわめく。
美哉の服だと言って、一泊用のボストンバッグを渡され、戸惑った。しかも中を見ると、見覚えのある服が入っていて、ますます戸惑った。
パジャマから服に着替えて、美哉は男性が用意してくれたホテルの部屋に行った。部屋はツインだった。
「さっきの方、すごく親切でしたね」
「……本当に覚えてないんだ」
とは、再会した時、青い顔をしていた紫紺。
「名前を聞き忘れたけど、紫紺は知ってる?」
「小早川由臣って名乗ってたぞ」
「こばやかわ……って、え、ちょっと待って? 小早川って、あの小早川?」
「あのがどれなのか分からないけれど、小早川グループの三男と聞いたぞ」
「……三男」
そう言われて、美哉はまた、頭痛に襲われた。
ずきずきと痛み始めたことに、紫紺はすぐに気がついてくれたようだ。
「無理するな、もう寝ろ」
「……うん」
紫紺に助けられながら美哉はベッドに潜り込み、ぎゅっと目を閉じた。途端、涙があふれて来て止まらなくなった。
それを見て、慌てだしたのは紫紺だ。
「美哉っ? どこか痛いのかっ?」
「ち……がう、の。勝手に涙が……出てきて……」
「美哉はあいつのことが、好き、なのか?」
紫紺のその言葉に、美哉は泣きながら顔を赤くした。それを見た紫紺は、美哉の涙を拭きながら、笑った。
「オレ、失恋か」
「ううん、違う。私、紫紺のこと……好き、だもん」
美哉は顔をしかめながら身体を起こし、紫紺に抱きついた。
「美哉、無理するな」
「無理してない。私、紫紺のこと」
好き、と続けようとしたら、紫紺は指先で美哉の唇を押さえた。
「その好きはきっと、likeの好きだ。loveじゃない」
「…………」
「それでも、オレには充分だよ。だって、こうして美哉はオレを頼ってくれたんだから」
「紫紺……」

