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恋の行方を探してください【完結】
第49章 【四十九話】あなたは誰?

*
朝、目が覚めたら、美哉は一人だった。
ずきりと頭が痛むし、なぜか首の皮膚が痛いけれど、それ以外は特に問題がなかった。
それよりも、どうして美哉はホテルらしきところで寝ているのだろうか。
きょろきょろと見回した後、隣の部屋から紫紺がやってきた。
「紫紺、おはよう」
「おはよう。気分はどうだ? 頭痛いのは治まったか?」
「頭はまだ痛いけど……。ところで、私、どうしてホテルで寝てるの?」
「……えっ? 覚えてない?」
「なにが? 私、紫紺の山小屋にお世話になるって決めて……あ……れ?」
山小屋に行って、紫紺が実は御庭番だと分かって、流れ的に忠誠の議になって……その先の記憶が、まったくない。
青ざめた美哉を見て、紫紺は思い当たることがあった。
「記憶が戻った?」
「へっ? なに?」
「御庭番のことは?」
「覚えてるけど? 紫紺も御庭番なんでしょ?」
「……違う」
「もー、そうやってまた自分を否定する。紫紺はもう、私の御庭番なの! 忠誠の議までしたのに、否定しないでよ!」
という美哉の反応を見て、記憶が戻ったことに紫紺はほっとした。しかし、記憶をなくしていた間の記憶はすっぽり抜けているらしい。
「昨日、なにがあったのか覚えているか?」
「昨日……? 首がすごく痛いんだけど、私、なにかした?」
「うわ……これは……」
昨日、日下部綺華に首を絞められたと聞いたが、その跡がくっきりと現れ、痛々しい。
ほんの少し、側を離れたときを狙って、美哉が誘拐されたことを思うと、紫紺は申し訳ない気持ちで一杯になった。
「ごめん……。オレがちょっと離れた隙に、ひどい目に遭わされて」
「え、紫紺のせいなの?」
「いや、オレじゃない。ところで、弓月当麻とかいうヤツに攫われたのは」
「……覚えてないんだけど、なにそれっ?」
「美哉は山小屋に来て、疲れがたまっていたせいなのか、一週間ほど寝込んでいたんだけど、それも覚えていない?」
「……覚えてない」
「覚えてないのなら、そっちの方がいいかもしれないな」
「なに、それ」
「かなり恐ろしい目に遭ったと聞いたから」
「……そうなんだ」
朝、目が覚めたら、美哉は一人だった。
ずきりと頭が痛むし、なぜか首の皮膚が痛いけれど、それ以外は特に問題がなかった。
それよりも、どうして美哉はホテルらしきところで寝ているのだろうか。
きょろきょろと見回した後、隣の部屋から紫紺がやってきた。
「紫紺、おはよう」
「おはよう。気分はどうだ? 頭痛いのは治まったか?」
「頭はまだ痛いけど……。ところで、私、どうしてホテルで寝てるの?」
「……えっ? 覚えてない?」
「なにが? 私、紫紺の山小屋にお世話になるって決めて……あ……れ?」
山小屋に行って、紫紺が実は御庭番だと分かって、流れ的に忠誠の議になって……その先の記憶が、まったくない。
青ざめた美哉を見て、紫紺は思い当たることがあった。
「記憶が戻った?」
「へっ? なに?」
「御庭番のことは?」
「覚えてるけど? 紫紺も御庭番なんでしょ?」
「……違う」
「もー、そうやってまた自分を否定する。紫紺はもう、私の御庭番なの! 忠誠の議までしたのに、否定しないでよ!」
という美哉の反応を見て、記憶が戻ったことに紫紺はほっとした。しかし、記憶をなくしていた間の記憶はすっぽり抜けているらしい。
「昨日、なにがあったのか覚えているか?」
「昨日……? 首がすごく痛いんだけど、私、なにかした?」
「うわ……これは……」
昨日、日下部綺華に首を絞められたと聞いたが、その跡がくっきりと現れ、痛々しい。
ほんの少し、側を離れたときを狙って、美哉が誘拐されたことを思うと、紫紺は申し訳ない気持ちで一杯になった。
「ごめん……。オレがちょっと離れた隙に、ひどい目に遭わされて」
「え、紫紺のせいなの?」
「いや、オレじゃない。ところで、弓月当麻とかいうヤツに攫われたのは」
「……覚えてないんだけど、なにそれっ?」
「美哉は山小屋に来て、疲れがたまっていたせいなのか、一週間ほど寝込んでいたんだけど、それも覚えていない?」
「……覚えてない」
「覚えてないのなら、そっちの方がいいかもしれないな」
「なに、それ」
「かなり恐ろしい目に遭ったと聞いたから」
「……そうなんだ」

