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恋の行方を探してください【完結】
第52章 【五十二話】家族になろう
由臣は意識を飛ばした美哉を抱えて川村の運転する車に戻り、若葉小屋へ戻った。
自室に戻り、美哉をベッドに横たえると、ようやくホッと息を吐いた。
美哉が消えたと聞き、目の前が真っ黒になったのを今でもはっきりと覚えている。
この世の終わりだ、と思った。
玄関に据えていた監視カメラを見て、美哉が一人で出て行ったのを見た時は、あまりの衝撃にしばらく記憶がない。
勝千代に頬を殴られて、ようやく美哉を探さなければならないと気がついた。それでも、口を開く元気さえなく、由臣に代わって、古坂が指揮を取ってくれた。
率先して探さなければならないというのに、由臣の身体は力が入らず、見つかったという報告を受けるまで、執務室の椅子の上から動くことができなかったし、眠れなかった。
そして、美哉はどうやら、御庭番から抜けたという明楽(あきら)に保護されていると知り、因果を感じた。
見つかったのなら、迎えに行かなければと思ったが、美哉が自らここを出て行った事実が由臣に重くのしかかり、動くことができなかった。
そうこうしているうちに、弓月が動き出したと知り、由臣はようやくそこで、なにがなんでも美哉を取り戻さなければならないと思い至った。
そして、危ないところで美哉を助けることができた。
しかし、美哉は記憶を失っていて、由臣を打ちのめした。
それでも、美哉がいてくれる。それだけでいい──。
そう思っていたら……。
記憶が戻った、という。
都合がよすぎると思ったけれど、それでも、また美哉に会うのが怖かった。記憶が戻る前の美哉のおびえた視線を思い出し、また、同じ物を向けられたらと思うと、恐ろしかった。
しかし、なにを今さら、という気もしないでもない。
とにかく、美哉にどうして出て行ったのか、直接、話を聞かなければなにも始まらない。そう思って美哉が泊まっているホテルの部屋へ向かうと……。
由臣そっくりな男が美哉と話していた。それを見て、すぐにだれか分かった。そして、美哉がどうしてなにも言わずに出て行ったのか、分かった。
頭に血が上った。が、美哉は目の前の由臣そっくりな男が由臣ではないと分かってくれて、安堵した。
自室に戻り、美哉をベッドに横たえると、ようやくホッと息を吐いた。
美哉が消えたと聞き、目の前が真っ黒になったのを今でもはっきりと覚えている。
この世の終わりだ、と思った。
玄関に据えていた監視カメラを見て、美哉が一人で出て行ったのを見た時は、あまりの衝撃にしばらく記憶がない。
勝千代に頬を殴られて、ようやく美哉を探さなければならないと気がついた。それでも、口を開く元気さえなく、由臣に代わって、古坂が指揮を取ってくれた。
率先して探さなければならないというのに、由臣の身体は力が入らず、見つかったという報告を受けるまで、執務室の椅子の上から動くことができなかったし、眠れなかった。
そして、美哉はどうやら、御庭番から抜けたという明楽(あきら)に保護されていると知り、因果を感じた。
見つかったのなら、迎えに行かなければと思ったが、美哉が自らここを出て行った事実が由臣に重くのしかかり、動くことができなかった。
そうこうしているうちに、弓月が動き出したと知り、由臣はようやくそこで、なにがなんでも美哉を取り戻さなければならないと思い至った。
そして、危ないところで美哉を助けることができた。
しかし、美哉は記憶を失っていて、由臣を打ちのめした。
それでも、美哉がいてくれる。それだけでいい──。
そう思っていたら……。
記憶が戻った、という。
都合がよすぎると思ったけれど、それでも、また美哉に会うのが怖かった。記憶が戻る前の美哉のおびえた視線を思い出し、また、同じ物を向けられたらと思うと、恐ろしかった。
しかし、なにを今さら、という気もしないでもない。
とにかく、美哉にどうして出て行ったのか、直接、話を聞かなければなにも始まらない。そう思って美哉が泊まっているホテルの部屋へ向かうと……。
由臣そっくりな男が美哉と話していた。それを見て、すぐにだれか分かった。そして、美哉がどうしてなにも言わずに出て行ったのか、分かった。
頭に血が上った。が、美哉は目の前の由臣そっくりな男が由臣ではないと分かってくれて、安堵した。