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恋は盲目
第1章 私の片想い
「・・・・・・だな。」
「え?」
ぱっと総司君の方に向き直る。
「モテるんだな。」
総司君がニッとして言う。
「そんなんじゃないよ。本当に。それに・・・」
『私が好きなのは総司君だよ。』
そう言ってしまいそうだった。
言ってもよかったけど、そんなこと言ってウザがられたらと思うと怖くて黙ってしまった。
何となく涙がにじんできたので総司君に背を向けて車道を睨む。
涙がこぼれてしまわないように。
総司君は何も言わない。
何で手を繋いだのかも、総司君にとっては意味のないことなのかも。
何となくしてみただけなのかも。
総司君はこの先も私を好きになったりしないのかも。
そんな思いがぐるぐるして、もう涙をこらえるのも無理かも、と思った瞬間
「他の男を見たらお仕置き。」
左の耳元で総司君が呟いた。
私はバッと耳を押さえて総司君の方に体を向けた。
総司君は私の右手を取り、頬を寄せて手首にキスをした。
今度は手がビリビリする。
唇を離す時、ペロッとキスマークをなめられた。
「消毒。」
総司君の目が妖しく光って吸い込まれそうだった。
そのまま総司君は自転車に乗って帰って行った。