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想いのカタチ
第9章 初めてのクリスマス
「ごめん…遅くなって」

慌ててお店に入って謝ると、文香はにっこりと笑って立ち上がった。

「大丈夫大丈夫!!お店の予約があるから行くでしょう?」

お店の予約は20時で、あと30分しかなかった。

「そうだね…本当にごめん…」

そう言いながら、伝票を手に持ってレジに歩いて行った。
財布を出そうとする文香の手を制してお金を払った。

「ありがとう」

文香は躊躇しながらも俺の好意を受け止めてくれた。
そして外に出れば冷たい空気が身にまとってくる。
文香は赤のコートを着て俺の隣に並んだ。
俺は、文香の手を取ってポケットに突っ込んだ…
これが夢だった。
文香とこんなふうに歩けることをずっと…想い描いていた。
文香はそんなことを思ってくれていたのだろうか…
お互いにお互いを好きなのにすれ違ってきた青春時代。
つきあうことを想像して寂しかったことを思い出していると、今の自分は幸せなんだと思えてくる。
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