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狂い咲く花
第15章 二、月光香 - 危険な快楽
この家にいたら2人の関係がばれてしまうと思った南和は、家に帰ることを進めた。
今日を選んだのも仕事で誰もいなくなるから。
そこに久しぶりに遊びに来た幼馴染を装って近づいた。
まだ昔と変わらない自分だと印象づけるために。
自分はみんなにとって無害だと思わせるために。

「麻耶って昔から南和には懐いてたわね。」

「そうだな…南和。麻耶と蘭子のことお願いしていいか?」

彼もまた仮面をかぶり笑顔をつくる。

「もちろん。きちんと送り届けるから安心して!」

南和がかぶる仮面は最強だった。
この、あどけない笑顔の裏に何かあるとは誰も疑わない。
疑わないどころではない。
大切な者まで簡単に預けてしまう。

仕事に行く3人を見送ったあと、少ない荷物を手に麻耶と南和も家を出ていった。
その後ろ姿を見て、本当の親子みたいだと美弥は思った。
そしてなんとなく胸がざわざわとする。
それが何なのか分からなかったが不安だけが大きくなっていった。
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