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狂い咲く花
第17章 二、千寿菊 - 嫉妬
待ち合わせした場所は、街外れの誰も近づかない森の中にある小さな小屋だった。
その奥には誰も近づかない、古い言い伝えの残る不気味な湖が存在した。
そこは小さな頃に4人で良く遊んだ場所。
だから、ふたりにとっては懐かしく楽しい場所でしかないため、一人でも麻耶は待っていられた。
ドアが勢いよく開いて中に入れば、待ち焦がれた麻耶が待っていてくれる。
南和を見た麻耶はニコリ笑って抱き付いて、先ほど泣いていたことは忘れて南和に甘える。
口づけをしようとする麻耶を止めて、前もって用意していた物を手に取り小屋を出て奥に進んでいく。
どこに行くかも分からずに麻耶は必死でついて行った。
小屋から30分程奥に進むと、湖が目の前に広がる。
この湖にどんな言い伝えが残っているのか知っている麻耶は、少し怖くなり南和の後ろに隠れてしまう。
湖が見える木陰に用意していた薄い布団を敷いて麻耶を座らせた。

「大丈夫だよ…今はお昼だから何も起こらないよ…あの小屋よりも遠いから…だれにも麻耶の声は届かない」

抱きしめて、麻耶の体温を感じ取る。
毎日でも抱きたいと願う南和もまた、会えない日々を耐えていた。

「麻耶…会いたかった…一日も早く抱きしめたかった…」

会いたかったと、恋しかったと、自分の思いを口にする。

「麻耶も…南和に会いたかった…身体のウズウズが止まらないの」

その言葉がうれしくて、唇を重ねていく。
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