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狂い咲く花
第18章 二、朝霧草 - 蘇る想い出
12月に入り、年末にかけて忙しくなる前に相良家では見合いがなされていた。
相手は27歳になったばかりの男性で、父親の仕事関係の次男坊だった。
その相手をしているのは未だに独り身の美弥。
葉月と麻耶が結婚して2年。
将来の事を心配した両親が見合いを進めたのだった。
それに逆らうこともなく今日に至る。
相手の両親と6人での見合いは滞りなく過ぎていった。

「では…あとは若いお2人で仲良く話など…」

と、決まり文句を残して大人たちは出て行った。
残された2人は何を話して良いのか分からずに沈黙が続く。

「えっ…と…どうぞと言われても困りますよね」

相手の男性が気を使って話をする。

「そうですよね…外に散歩というのも寒すぎますし…困りますね」

今の状況を思い浮かべて少しおかしくなり笑った。

「やっと笑顔みせてくれましたね」

「えっ?」

彼も少し微笑んで会話を続ける。

「お会いしてから硬い表情ばかりでしたから…まぁ、緊張しているのだからあたりまえですよね」

その言葉が優しくて、緊張が少しほぐれていくのが分かった。

「ありがとうございます…お見合いは初めてで…どうしたらいいのか分からなくて」

困った顔で伝えると、彼は頷いて笑顔を向けてくれる。
あまり男性の知り合いがいない美弥にとって新鮮で、それだけでドキドキしてしまう。
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