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狂い咲く花
第18章 二、朝霧草 - 蘇る想い出
「美弥さんの噂はお父様から色々と伺っていました…噂通りの人ですね」

「えっ?父様は何と?」

それは初耳で何を話していたのか気になった。

「自分の娘ながら非の打ちどころがないと…いつも自分よりも人の事ばかりを考えて貧乏くじを引いてしまうことも多いけど、それでもいつもにニコニコ笑って周りを和ませてくれる、自慢の娘だと会うたびに力説されていましたよ。」

その言葉を聞いて耳まで真っ赤になって恥ずかしがる美弥を見て、彼は美弥に好感を持ち始める。

「父様ったら…父が変なこと言っているみたいで、お恥ずかしい…」

「そうですか?あなたはご両親に愛されて育てられたんですね。…お会いして御父上の言葉が分かった気がしました」

「愛されてなんて…。それに…まだ、あまりお話もしていないのにですか?」

困った顔で聞くと、彼は静かに微笑んだ。

「…本当は、この見合い望んでいないのではないですか?お父上が持ってきた話だから、お父上の顔を立てるために見合いをした…そうじゃないですか?」

的を射た言葉に返す言葉がない。

「別に責めているわけではないんです。お父上の気持ちを察して、こうやって私に会っていただけたことがうれしいんです。あなたが断ってしまっていたら、このご縁もなかったことなので…縁とは不思議で少しのすれ違いで人生が大きく変るものなんです。もしかしたら私たちは一生縁のない人生を送っていたかもしれない。それが美弥さんの決断でいいご縁に恵まれた。それはお父上を思う気持ちがあったからこそできたご縁…私はこのご縁を大切にしたいと思っています。」
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