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狂い咲く花
第19章 二、牡丹一華 - 希望
年が明けて、また新しい一年が始まった。
元日は家族が全員が集まり賑わいを見せていた相良家だったが、それも過ぎてしまえばいつもの静けさが戻ってくる。
両親2人は仕事が忙しく家にいることが少なくなった。
一人で過ごすことが多くなった美弥にとって、蘭子と遊ぶことが生きる上での楽しみになりつつある。
それを知ってか、麻耶が美弥に預ける頻度も多くなり、今日もまた蘭子の面倒を見ていた。
今日は珍しく家まで連れて行くことになっていたので、少しでも暖かいうちにと思い、いつもより少し早めに家をでることにした。
1月の日中でも底冷えがする程の寒さで風を引かないように蘭子に丹前を着せる。
大人の足で10分程度の道のりでも、歩き始めた蘭子の足では程遠かった。
歩きたがる蘭子に合わせて歩いて行けば、その何倍もかかってしまう。
それでも、その時間が幸せで大切な時間だと思いゆっくりと蘭子の歩きに合わせる。
途中、何かを見つけたのか座り込んで遊びだす。
覗いてみると、蟻の行列を熱心に見ていた。
一列に並んで自分の体より大きなものを運ぶ蟻に興味を引かれているようだった。
寒いから帰ろうと言ってもその場を離れることをしないので、自分が羽織っているものを蘭子の上からかけて気が済むまでそこにいさせた。
「美弥さん?」
不意に後ろから知らない男性に声をかけら振り向く。
「やっぱり美弥さんでしたね。こんなところで何をしてるんです?」
彼は、以前にお見合いをした男性だった。
名前は戸畑幸信。
穏やかな笑顔が印象だったのを未だに覚えているが、お見合いの返事もしていない美弥は気まずかった。
元日は家族が全員が集まり賑わいを見せていた相良家だったが、それも過ぎてしまえばいつもの静けさが戻ってくる。
両親2人は仕事が忙しく家にいることが少なくなった。
一人で過ごすことが多くなった美弥にとって、蘭子と遊ぶことが生きる上での楽しみになりつつある。
それを知ってか、麻耶が美弥に預ける頻度も多くなり、今日もまた蘭子の面倒を見ていた。
今日は珍しく家まで連れて行くことになっていたので、少しでも暖かいうちにと思い、いつもより少し早めに家をでることにした。
1月の日中でも底冷えがする程の寒さで風を引かないように蘭子に丹前を着せる。
大人の足で10分程度の道のりでも、歩き始めた蘭子の足では程遠かった。
歩きたがる蘭子に合わせて歩いて行けば、その何倍もかかってしまう。
それでも、その時間が幸せで大切な時間だと思いゆっくりと蘭子の歩きに合わせる。
途中、何かを見つけたのか座り込んで遊びだす。
覗いてみると、蟻の行列を熱心に見ていた。
一列に並んで自分の体より大きなものを運ぶ蟻に興味を引かれているようだった。
寒いから帰ろうと言ってもその場を離れることをしないので、自分が羽織っているものを蘭子の上からかけて気が済むまでそこにいさせた。
「美弥さん?」
不意に後ろから知らない男性に声をかけら振り向く。
「やっぱり美弥さんでしたね。こんなところで何をしてるんです?」
彼は、以前にお見合いをした男性だった。
名前は戸畑幸信。
穏やかな笑顔が印象だったのを未だに覚えているが、お見合いの返事もしていない美弥は気まずかった。