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狂い咲く花
第19章 二、牡丹一華 - 希望
「姪っ子が蟻の行列に夢中になってしまって」
美弥の言葉に、足元で身動きもせずに蟻の行列を見ている蘭子に気がつき、蘭子の横に座り込んで一緒に蟻の行列を見て話しかける。
「蟻さん、頑張って歩いているね」
その言葉に顔を上げた蘭子は嬉しそうに頷いて覚えたての言葉を口にする。
「トト!」
男の人を見ると誰にでも『トト』と呼んでしまう蘭子に慌てて謝る。
「戸畑さん。ごめんなさい…蘭子は男の人を見るとトトと呼んでしまって」
「気にしないでください。蘭子ちゃんって言うんですね。良い名前です」
にっこりと美弥に笑い、優しい眼差しを蘭子に向けた。
その表情がとても穏やかで美弥の目を釘付けにする。
こんなにも穏やかな顔をする人もいるのだと思うと目が離せなくなった。
彼の顔を見ていると、その視線に気が付いたのか彼が目線を上げてお互いの目線が絡みあう。
「どうしたんですか?泣きそうな顔をして…」
彼は立ち上がり、一度目を伏せて寂しそうな表情を見せる。
「違いますね…どうして泣いてるんですか??」
「えっ?」
唐突な言葉に彼の顔を見つめ返す。
「私には、あなたが泣いている様に見えます…涙を流して泣くことも時として大切ですよ」
その言葉に美弥の目から一筋の涙が流れていく。
それは、初めて人前で流した涙だった。
美弥の言葉に、足元で身動きもせずに蟻の行列を見ている蘭子に気がつき、蘭子の横に座り込んで一緒に蟻の行列を見て話しかける。
「蟻さん、頑張って歩いているね」
その言葉に顔を上げた蘭子は嬉しそうに頷いて覚えたての言葉を口にする。
「トト!」
男の人を見ると誰にでも『トト』と呼んでしまう蘭子に慌てて謝る。
「戸畑さん。ごめんなさい…蘭子は男の人を見るとトトと呼んでしまって」
「気にしないでください。蘭子ちゃんって言うんですね。良い名前です」
にっこりと美弥に笑い、優しい眼差しを蘭子に向けた。
その表情がとても穏やかで美弥の目を釘付けにする。
こんなにも穏やかな顔をする人もいるのだと思うと目が離せなくなった。
彼の顔を見ていると、その視線に気が付いたのか彼が目線を上げてお互いの目線が絡みあう。
「どうしたんですか?泣きそうな顔をして…」
彼は立ち上がり、一度目を伏せて寂しそうな表情を見せる。
「違いますね…どうして泣いてるんですか??」
「えっ?」
唐突な言葉に彼の顔を見つめ返す。
「私には、あなたが泣いている様に見えます…涙を流して泣くことも時として大切ですよ」
その言葉に美弥の目から一筋の涙が流れていく。
それは、初めて人前で流した涙だった。