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狂い咲く花
第3章 一、昇り藤 - いつも幸せ
この町でも有名な呉服屋の息子の葉月。
2つ上の春日兄が家業を継ぐのは間違いはなかったがまだ独身。
兄を差し置いて次男が結婚するわけにはいかなかった。
しかし、許婚の女性は決まっている。
二十歳の誕生日と同時に家業を告ぐことと結婚することは随分前から決まっていた。
2人の結婚がすめば次男の葉月がどこに婿に入ろうと誰も何も言わない。
それが相良家なら尚更のこと何も言われない。
だから後一年の辛抱だった。

「分かってるから…春日兄の結婚式が終わるまで待ってるから」

「美弥…」

呼びかけで顔を上げる。
そこには、優しく見つめ葉月の笑顔があった。
いとしい美弥…

「美弥、愛してる」

いとしい葉月…

「私も、愛してる」
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