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狂い咲く花
第3章 一、昇り藤 - いつも幸せ
「遅かったわね。もしかして起きた?」

本を読んでいた美弥は戻ってきた葉月に気付き、ぱたんと本を閉じた。

「一度起きたけど、また寝たよ」

美弥が羽織ってる毛布の中に潜り込み後ろから抱きしめる。
今度は麻耶の時と違って、愛情を込めて抱きしめた。
体を預けてくる重みが心地よいと思う。
抱きしめて、手に当たる胸のふくらみが先ほどの麻耶の胸を思い出してしまう。
ついつい思い出してしまうことを振り払うかのように頭を軽く振った。
その行動に不思議そうに見上げてくる美弥を手で完全に振り向かせ、触れるだけの口づけをする。
一度離れて見つめあうと、自然と次はもっと欲しいと欲が沸き起こってくる。
それはお互いが同じ気持ちで止めるものはない。
先ほどより深く口づけを繰り返し離れることはなかった。
葉月の唇が美弥の舌に吸い付き絡め取る。
角度を変えて長い間お互いを感じあう。
この先に進めないもどかしさと切なさを消すかのように激しく続けた。

「はぁはぁ…」

2人の荒い息が重なり、美弥は葉月の胸に顔をうずめた。
火照った体がうずきどうしていいか分からず葉月にしがみ付く手に力が入る。

「美弥…もう少し待って。春日兄が家業を継いで結婚したら俺は自由になれるから…この家に婿として入れる。それまで俺を待ってて」

抱きしめてくれる腕に力が入る。
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