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狂い咲く花
第21章 二、杜鵑草 - 秘めた思い
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「葉月~~!!」
南和と別れた麻耶は、何事もなかったかのように後ろから葉月に抱き付いた。
「麻耶??」
「もう、葉月探したよっ。迷子になっちゃダメだって」
「俺??」
迷子になったのは葉月の方だと詰め寄る。
「気を付けてね」
「機嫌いいね…で?買いたいもの見つかったの?」
晴れやかな顔をしている麻耶を見つめて欲しい物が決まったか聞いてみる。
「あっ…忘れてた」
舌をペロッと出して、おどけてみせる。
葉月の腕に自分の腕を絡ませ色々な店を見て回った。
目移りしてしまい、欲しい物が全く決まらない。
「あれ??葉月と麻耶だぁ」
後ろから名前を呼ばれて振り返ると、そこには南和が立っていた。
「腕なんか組んじゃって…相変わらず仲良しだね」
2人を交互に見て、からかうように言う。
南和の言葉に葉月は腕を解いて知らない顔をする。
「恥ずかしがらないでいいじゃん。夫婦なんだし。ねっ!麻耶」
麻耶に声を掛けるが、その目は笑っていない。
先ほどまで優しく見つめられていた南和の目ではなかった。
その目が怖いとさえ麻耶は思った。
「みっ…南和…」
「何?麻耶?」
笑顔を向けられれば向けられるほど南和の目が冷たくなる。
『求めないって約束だよね』
と目で訴えられてるような気がしてならなかった。