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狂い咲く花
第21章 二、杜鵑草 - 秘めた思い
家に到着すると玄関先に美弥と幸信が両親と話をしていた。

「父様。葉月は?」

先程まで、南和と甘い時間を過ごしていたというのに、戻れば葉月の心配だった。

「具合悪くて戻ってから部屋で寝てるぞ」

「麻耶、様子見てくる。南和、バイバイ」

南和を残して部屋に戻ろうとする。
その時に裏のほうからカタンと音がし、南和はそれが気になりその場を抜けて音がするほうに足を進めた。
音がしたであろう場所を覗けば、部屋の中に入ろうとする人影だけが目にはいる。
それを見て、南和は全てを理解する。

「へぇ~…見ちゃったって感じかな?葉月には刺激が強すぎなきゃいいけど。…僕と同じ臭いがする幸信と、麻耶より美弥が好きな葉月…いい具合に使えば、完全に麻耶は僕の物…。早く心も僕に向けばいいのに…。僕は何も悪くない…僕から麻耶を奪った葉月が悪いんだからね…。」

そう、南和がつぶやいたのを誰も知らない。
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