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狂い咲く花
第21章 二、杜鵑草 - 秘めた思い
───…
「すごいの…見ちゃったね…」
違う方向から2人の様子を見守っていた麻耶が興奮したように南和に告げる。
「そうだね…」
返事をしても、その言葉に心はこもらない。
歩いて行く2人の後ろ姿を見ながら南和は胸騒ぎを感じた。
優しいだけのその裏に何かが潜んでいるのではないかと南和は感じ取っていた。
自分と同じ…何かを幸信は持ち合わせていると思わずにはいられなかった。
そして、その先にある未来を面白いとさえ思えた。
しかし、それが麻耶に関りがなければと懸念する。
「麻耶…彼…幸信には気を付けて…」
「どういうこと?」
「ちょっとね…麻耶は僕の事だけを見て考えてればいいってことだよ」
麻耶の顎に手を当て上を向かせ唇を重ね合わせる。
先ほどの2人に負けないほど、激しく貪りお互いの蜜が入り乱れて麻耶に飲み込ませる。
「…南和、激しい…」
南和に抱き付きながらもっと欲しいとねだる。
「今日は駄目。帰る時間だよ。」
「え~…」
淋しそうな目で見つめられて南和は困りはてる。
「明日ね。仕事抜け出して行くから…今日は我慢して」
「本当?」
ぱっと表情を変えて嬉しそうに聞く。
「うん。本当だよ。今すぐにもでも麻耶の中に入りたいけど…見つかったら駄目だからね。お互い我慢しよう?そしたら明日はもっと気持ちよくなれるから」
大きく頷いて納得した麻耶を見て、南和は麻耶と手を繋ぎ歩き出した。
いつの間にか辺りは闇夜に変わり、手を繋いでも誰にも気が付かれることはなかった。