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狂い咲く花
第24章 二、花浜匙 - 変わらぬ心
───…
「…ごめん…」
「私の方こそ…」
糸を引きながら唇を離すと、それぞれが謝罪の言葉を口にする。
超えてはいけない一線を越えてしまった事への後悔と、触れられたことへの喜びが交差する。
「何があったか…やっぱり言えない?」
心配する美弥の顔を見て、やはり忘れることはできないと実感する。
他の男に渡したくない、触られたくないと強く思い葉月も心を決める。
「まだ…気持ちの整理がついてなくて…近いうちに時間を貰える?ちゃんと話すから…今までのこと全部説明したいから。だから…」
もう一度、強く抱きしめる。
「だから、あいつの元にはいかないで」
葉月の言葉に驚きながら、うれしいと思う美弥がいた。
美弥はうなずいて葉月の気持ちを受け止める。
「美弥…やっぱり俺…お前が好きだから…。麻耶とのことちゃんとするから…それまで待っていてほしい」
葉月の口から零れる言葉に美弥の心は満たされる。
二度と伝えてもらえないと思っていた言葉を聞いて、麻耶の気持ちなど思う余裕などなかった。
今、この葉月の手を取りたいと、それだけしか考えられなかった。
だから、それがどんな未来を導くかも知らずに秘めた心を開放していく。
「待ってる…待ってるから」
離れていた時を取り戻すかのように何度も何度も口づけをかわした。