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狂い咲く花
第26章 二、昇り藤 - あなたは私の安らぎ
腕の中で震える美弥を、何時間も抱きしめていた。
何度も名前を呼び、大丈夫だと何回も言い聞かせ、身体の震えがおさまる頃には眠りに落ちていた。
どれだけの恐怖だったかと思うと心が締め付けられそうで美弥の代わりに葉月は涙を流す。
あと少し…あと少し早く帰っていればと後悔だけが残ってしまう。
それでも、最後の一線を越えずにすんだことだけはよかったと思うしかなかった。
「美弥~!拭くもの持ってきてくれ」
玄関先で父様の声が聞こえた。
もう、そんな時間なのかと美弥から身体を離そうとしても、しっかりと握りしめられている腕から抜け出すことができなかった。
この状況を見たら殴られるだろうなと思いながらも離れることを諦めて、そっと髪を撫でる。
今は一秒でも長く傍にいたいと葉月は思う。
「美弥、入るぞ」
そういって、父様は襖を開けた。
荒らされた部屋と目に飛び込んでくる2人の姿を見て父様は勘違いをする。
「っお前!!」
顔を真っ赤にして、手が震えているのが葉月の目には見えた。
この状況を見たら仕方がないことだと思いながらも、殴られなかったことに安堵する。
「父さん…状況はあとで説明します。母さんを呼んできてもらえますか?」
葉月は静かに告げた。
その物言いに、父様は何かを察し母様を呼ぶ。
母様も部屋の中の状況を見ると驚き、直ぐに駆け寄り美弥の顔を覗き込む。
何度も名前を呼び、大丈夫だと何回も言い聞かせ、身体の震えがおさまる頃には眠りに落ちていた。
どれだけの恐怖だったかと思うと心が締め付けられそうで美弥の代わりに葉月は涙を流す。
あと少し…あと少し早く帰っていればと後悔だけが残ってしまう。
それでも、最後の一線を越えずにすんだことだけはよかったと思うしかなかった。
「美弥~!拭くもの持ってきてくれ」
玄関先で父様の声が聞こえた。
もう、そんな時間なのかと美弥から身体を離そうとしても、しっかりと握りしめられている腕から抜け出すことができなかった。
この状況を見たら殴られるだろうなと思いながらも離れることを諦めて、そっと髪を撫でる。
今は一秒でも長く傍にいたいと葉月は思う。
「美弥、入るぞ」
そういって、父様は襖を開けた。
荒らされた部屋と目に飛び込んでくる2人の姿を見て父様は勘違いをする。
「っお前!!」
顔を真っ赤にして、手が震えているのが葉月の目には見えた。
この状況を見たら仕方がないことだと思いながらも、殴られなかったことに安堵する。
「父さん…状況はあとで説明します。母さんを呼んできてもらえますか?」
葉月は静かに告げた。
その物言いに、父様は何かを察し母様を呼ぶ。
母様も部屋の中の状況を見ると驚き、直ぐに駆け寄り美弥の顔を覗き込む。