この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狂い咲く花
第30章 三、莢蒾 - 無視したら私は死にます
「麻耶…蘭子は俺が育ててもいい…。一人になって自由に生きて…偽りの夫婦は終わりにしよう…」
最後の言葉を口にする。
「やっ…」
麻耶の身体に力が入る。
荒い息をしながら麻耶は葉月に告げる。
「葉月のいない人生なんて意味がないよ…葉月がいないなら生きている意味もない…死んだほうがまし…」
「そんなこと言わないでくれ…死ぬなんて…」
そう口を開いた時に麻耶の様子が変だと葉月は漸く気が付く。
言い知れぬ不安が込み上げ、嫌な予感しかしなかった。
「麻耶…」
土間に降りて麻耶に近づく。
少し近づけば、今何が起きているのか葉月の目に飛び込んでくる。
麻耶が持っている包丁が胸に向き、そこから麻耶の血が包丁から手をつたい、今にも落ちようとしていた。
「麻耶!!」
咄嗟に、麻耶の手を握りしめて、深く突き刺さらないように止めた。
「離せ!!!」
強い口調で怒鳴っても麻耶は首を横に振り、包丁から手を離そうとはしない。
いつもなら葉月の力でどうにでもなるはずなのに、今はびくとも動かなかった。
「麻耶…いらない子だもん…葉月と一緒じゃなきゃ生きている意味ないもん」
――だから死なせて。
と、口に出さずとも先の言葉は葉月に届く。
その儚げに見上げる麻耶を見て葉月の心はまた揺らいでいく。
この手を離せば確実に命を落とすだろうと、これが狂言でもないことは見れば分かった。
最後の言葉を口にする。
「やっ…」
麻耶の身体に力が入る。
荒い息をしながら麻耶は葉月に告げる。
「葉月のいない人生なんて意味がないよ…葉月がいないなら生きている意味もない…死んだほうがまし…」
「そんなこと言わないでくれ…死ぬなんて…」
そう口を開いた時に麻耶の様子が変だと葉月は漸く気が付く。
言い知れぬ不安が込み上げ、嫌な予感しかしなかった。
「麻耶…」
土間に降りて麻耶に近づく。
少し近づけば、今何が起きているのか葉月の目に飛び込んでくる。
麻耶が持っている包丁が胸に向き、そこから麻耶の血が包丁から手をつたい、今にも落ちようとしていた。
「麻耶!!」
咄嗟に、麻耶の手を握りしめて、深く突き刺さらないように止めた。
「離せ!!!」
強い口調で怒鳴っても麻耶は首を横に振り、包丁から手を離そうとはしない。
いつもなら葉月の力でどうにでもなるはずなのに、今はびくとも動かなかった。
「麻耶…いらない子だもん…葉月と一緒じゃなきゃ生きている意味ないもん」
――だから死なせて。
と、口に出さずとも先の言葉は葉月に届く。
その儚げに見上げる麻耶を見て葉月の心はまた揺らいでいく。
この手を離せば確実に命を落とすだろうと、これが狂言でもないことは見れば分かった。