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狂い咲く花
第30章 三、莢蒾 - 無視したら私は死にます
葉月は目を閉じて軽く息を吐く。
「…分かったから…手を離そう…」
静かに、麻耶を刺激しないように優しく問いかける。
「いらない子じゃない?」
「ああ…いらない子じゃないよ。だからね。この手を離して…」
握りしめている包丁を離す様に促す。
麻耶は首を横に振って離そうとせず、葉月の言葉が口だけだと気が付いていた。
「麻耶を置いてどこにもいかないから…信じて?」
麻耶が葉月の言葉を信じるまで根気良く言い聞かせる。
その間にも麻耶から流れ出した血は滴り落ちていく。
刃の長さからしてそんなに刺さってはないと分かっていても、その鮮血を見れば早くどうにかしてあげたいと思う。
「麻耶のこと…愛してる?」
「ああ…愛してるよ」
美弥への裏切りだと思いながらも、麻耶に対して一度も言った事もない言葉を口にする。
その言葉を聞いて、麻耶の表情が少し柔らかくなった。
「口づけしてくれる?」
「それは…」
次に繰り出された言葉に葉月は返答に困り、何も言えずにいた。
「うそつき!愛してるって言ったのに…口づけもできないなんて…やっぱり麻耶のことなんて愛してないんだ」
自分に向ける包丁に力がこもり、体内に包丁が沈んだ。
「そうじゃない!!…口づけする時は目を閉じるもんだろう?」
「……目を閉じたらしてくれる?」
「ああ…」
葉月の言葉を聞いて、麻耶は目を閉じた。
「…分かったから…手を離そう…」
静かに、麻耶を刺激しないように優しく問いかける。
「いらない子じゃない?」
「ああ…いらない子じゃないよ。だからね。この手を離して…」
握りしめている包丁を離す様に促す。
麻耶は首を横に振って離そうとせず、葉月の言葉が口だけだと気が付いていた。
「麻耶を置いてどこにもいかないから…信じて?」
麻耶が葉月の言葉を信じるまで根気良く言い聞かせる。
その間にも麻耶から流れ出した血は滴り落ちていく。
刃の長さからしてそんなに刺さってはないと分かっていても、その鮮血を見れば早くどうにかしてあげたいと思う。
「麻耶のこと…愛してる?」
「ああ…愛してるよ」
美弥への裏切りだと思いながらも、麻耶に対して一度も言った事もない言葉を口にする。
その言葉を聞いて、麻耶の表情が少し柔らかくなった。
「口づけしてくれる?」
「それは…」
次に繰り出された言葉に葉月は返答に困り、何も言えずにいた。
「うそつき!愛してるって言ったのに…口づけもできないなんて…やっぱり麻耶のことなんて愛してないんだ」
自分に向ける包丁に力がこもり、体内に包丁が沈んだ。
「そうじゃない!!…口づけする時は目を閉じるもんだろう?」
「……目を閉じたらしてくれる?」
「ああ…」
葉月の言葉を聞いて、麻耶は目を閉じた。