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狂い咲く花
第30章 三、莢蒾 - 無視したら私は死にます
美弥以外とはしないと決めた。
美弥と共に生きると決めた。
その思いは無垢という名の魔物に簡単に壊されてしまう。

葉月は意を決っして麻耶に口づけをした。
生まれて初めての麻耶を思っての口づけだった。
これで、麻耶が思い止まってくれると思ったが、それは甘かった。

「愛してる人がする口づけはこんなのじゃないよ…もっと激しいの」

麻耶が望んでいたのは子供だましの口づけではなかった。
その言葉を聞いて葉月は全てを諦めた。
美弥に心の中で謝りながら、葉月は麻耶に今とは違う口づけをする。
舌を少し入れれば、麻耶の舌に触れた。
ゆっくりと絡ませながら、次第に激しさを増していく。
麻耶に聞こえるようにクチュクチュと音を出し、麻耶が欲しがる口づけを何度も交わした。
麻耶の手から包丁が落ち、麻耶の手が葉月の背中に回った。
葉月も麻耶の背中に手を回し、恋人のような熱い口づけを交わす。

「はぁはぁはぁ…」

名残惜しそうに唇を離し、苦しそうに肩で息をする。

「んっ…やっとしてくれた…葉月。愛してる…」

望み続けたことが叶い、麻耶は葉月の胸に顔を埋めた。

「ああ…愛してるよ。麻耶」

葉月も同じ言葉を返し抱きしめた。
少しの間抱き合い、葉月が傷の手当をするために身体を離す。
手当てをするときも、ご飯を食べるときも片時も傍を離れることはなかった。
寝につくそのときまで2人は抱き合っていた。
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