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狂い咲く花
第32章 三、風信子 – 悲哀
あの夜から美弥は寝付けない夜を過ごしていた。
身体の痛みは取れても心の傷は深く塞がることはない。
無理やり身体を奪われ、心は裏切られた美弥に残されたものは何もなかった。
ただ、いつか現れるであろう男たちに怯えながら生きていくしかないのだと人生の全てをあきらめていた。
───…
「言われた通り鍵は開けていたな」
ガラス戸を開けて宝賀が我が物顔で上がる。
その顔を見て美弥は絶望した。
また同じことを繰り返されるのかと分かった美弥は動く事も出来ずにいた。
「10日もたてば身体も大丈夫だろう?」
身体を小さくして震える美弥に宝賀は肩に手を回し隣に座り、襟から手を差し込み胸を鷲掴みにした。
「っつ…」
力強くつかまれ激痛が身体を駆け巡る。
「今日は感じられればいいな。そしたら痛くない」
首筋を舐め上げ美弥の唇を奪おうとする。
美弥は小さな抵抗で顔をそむけようとしたが、胸をつぶれるほど握られ、無言の圧力をかけられる。
痛さで涙目になりながら顔を宝賀のほうに向ける。
「お前からしてこいよ。そしたら今のことは許してやる」
躊躇していると、胸を鷲掴みにしている手に一層力が増す。
この痛みから逃れるためには言うとおりにするしかなかった。
そうしなければまた首を絞められると身体が恐怖を覚えていた。
美弥は顔を歪めながら、宝賀の唇に自分の唇を押し付けた。
これだけで満足しないことは分かっていた。
しかし、そこから先に進むことができなかった。
それを許してもらえることもない
身体の痛みは取れても心の傷は深く塞がることはない。
無理やり身体を奪われ、心は裏切られた美弥に残されたものは何もなかった。
ただ、いつか現れるであろう男たちに怯えながら生きていくしかないのだと人生の全てをあきらめていた。
───…
「言われた通り鍵は開けていたな」
ガラス戸を開けて宝賀が我が物顔で上がる。
その顔を見て美弥は絶望した。
また同じことを繰り返されるのかと分かった美弥は動く事も出来ずにいた。
「10日もたてば身体も大丈夫だろう?」
身体を小さくして震える美弥に宝賀は肩に手を回し隣に座り、襟から手を差し込み胸を鷲掴みにした。
「っつ…」
力強くつかまれ激痛が身体を駆け巡る。
「今日は感じられればいいな。そしたら痛くない」
首筋を舐め上げ美弥の唇を奪おうとする。
美弥は小さな抵抗で顔をそむけようとしたが、胸をつぶれるほど握られ、無言の圧力をかけられる。
痛さで涙目になりながら顔を宝賀のほうに向ける。
「お前からしてこいよ。そしたら今のことは許してやる」
躊躇していると、胸を鷲掴みにしている手に一層力が増す。
この痛みから逃れるためには言うとおりにするしかなかった。
そうしなければまた首を絞められると身体が恐怖を覚えていた。
美弥は顔を歪めながら、宝賀の唇に自分の唇を押し付けた。
これだけで満足しないことは分かっていた。
しかし、そこから先に進むことができなかった。
それを許してもらえることもない